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2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その3

   クリストフ・ルメールはその後、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」が、2016年秋冬に全世界で発売されました。

 

 私が購入したのは、カシミヤ100%のリブクルーネックセーターと、カシミヤ100%タートルネックセーター、カシミヤ混ニットワンピース、ドット柄が可愛い極細ラムウールのクルーネックセーターなど。

 なかでも、リブのクルーネックとニットワンピースは、島精機製作所のホールガーメントでしたが、この段階ではまだ、「ホールガーメント」の表示はなく、「シームレス(縫い目がない)」とだけ説明されていました。

 ホールガーメントのカシミヤ100%のクルーネックは、フィット感はもちろん、肌触りもいいので、肌着として着用。価格は9990円と安くはありませんが、カシミヤ100%なのでヒートテックよりも暖かいのでおすすめです。

 ただ、購入1週間後に、衿ぐりの糸が切れてほどけてしまい、店頭で交換してもらいました。衿ぐりの仕様はホールガーメントではなく、縫製だったようです。

 また、ブルーのドット柄セーターはシーズン中、着倒しました。

 

 「Uniqlo U」の無縫製ニットは、今シーズン、「3D U-Knit」として登場します。

ユニクロと島精機製作所との合弁で昨年設立された「イノベーションファクトリ ー」が手がける、ホールガーメント技術を駆使した新しいニットコレクションです。

 

 立体的に編み上げているため縫い目がなく、美しいシルエットと着心地の良さが魅力。いままでは主に高級ブランドで使われていた技術を採用したニットドレスは、ニットの概念を変え、きっと多くの女性から支持されるでしょう。

 私が狙っているのは「3Dメリノリブモックネックワンピース」と「3DメリノリブVネックワンピース」。いずれも5990円で、ホールガーメントの概念も変えてしまう挑戦的な価格で発売されます。

 

 今シーズンのコラボパートナーに選んだJ.W.アンダーソンが、コメントしているように、ユニクロとのコラボは「最も優れたファッションの民主化のモデルケース」です。世界の一流デザイナーが、ユニクロの生産技術力を最大限活用して作ったファッション性の高い洋服を、誰もが手の届く価格で提供する。ユニクロのデザイナーズコラボは、究極の服づくりへの挑戦という点で、他社のコラボ企画とは一線を画しているといえるでしょう。

 

 

●2006年秋冬

秋冬の戦略商品として、「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」始動 

 

●2009年秋冬

ジル・サンダー氏デザインによるコレクション「+J(プラスジェイ)」がデビュー 

 

●2011年秋冬

「+J」のラストコレクション。ジル・サンダー氏とのデザインコンサルティング契約が終了

 

●2012年春夏

アンダーカバーとのコラボレーションによる初の“家族”のためのコレクション「UU(ユニクロ アンダーカバー)」スタート 

 

●2015年秋冬

ユニクロとLEMAIRE(ルメール)のコラボレーション商品「UNIQLO AND LEMAIRE」発売 

 

●2016年秋冬

クリストフ・ルメール氏、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」発売

 

●2016年秋冬

コンフォートウエアの新しい提案「HANA TAJIMA FOR UNIQLO」発売 

 

●2017年秋冬

英国ブランド、JW ANDERSONとのコラボレーション「UNIQLO and JW ANDERSON」発売

 

●2017年秋冬

「Uniqlo U (ユニクロ ユー)」に、美しいシルエットと着心地のよさを兼ね備えた「3D U-Knit」誕生 

 

2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる その2

 

   前回、ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」について書きましたが、先日、ルクアイーレ店に行ってみると、購入した商品はS、 Mサイズ共に完売していました。かつての勢いはないものの、ユニクロのデザイナーズコラボ人気は健在のようです。

 

 そこで、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみましょう。

 

 私が初めて購入したのは、2008年5月に発売された「Alexander Wang(アレキサンダー・ワン)」の白いノースリーブワンピースでした。参考資料として購入したので一度も着用していませんが、いまも衣装ケースに保管しています。

 

 当時はニューヨークコレクションにデビューしたばかりの新進気鋭のデザイナーで、注目株のひとりでした。ユニクロが2006年に始めた「Designers Invitation Project(デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト)」の第3弾に登場。このプロジェクトは、パリコレや東京コレクションで活躍する新進気鋭のデザイナーを招聘し、ファッション性の高い商品を創り出すのが狙いで、過去には3.1フィリップ リムも招聘されていました。

 その後、アレキサンダー・ワンはGAP、H&Mともコラボレーションし、いまではニューヨークを代表する世界的なファッションデザイナーとして活躍しています。

 

 ユニクロにとって、海外のファッションデザイナーとのコラボは、グローバル戦略に欠かせない取り組みだったといえます。機能性が高く、低価格の日本ブランドというだけでは、日本国内で高く評価されても、世界市場で受け入れられるとは限りません。ヒートテックやフリースはユニクロを代表するアイテムですが、それだけでは、ユニクロという企業ブランドを海外で浸透させるのはむずかしかったでしょう。

 欧米で支持されているファッションデザイナーとの取り組みは、ものづくりに妥協を許さないユニクロの企業理念と技術力の高さ、それを叶える万全の生産体制を世界に知らしめることにつながったわけです。

 

 それを実感したのが、2009年秋冬にデビューした、ジル・サンダーとのコラボプロジェクト「+J(プラスジェイ)」でした。新進のデザイナーではなく、ファッション界の超大物との取り組みは、ユニクロの世界戦略においてひとつの転機になったといえます。

 低価格のベーシックウェアを代表するユニクロと、ミニマルかつ構築的なモードの女王、ジル・サンダーとのコラボは、その完成度の高さと破格の価格設定でファッション業界人をも驚かせました。

 

 当時、ユニクロ銀座店のリニューアルの内覧会と同時に「+J」のお披露目会があり、私も興味津々で参加。ウールのジャケットが1万円以下、カシミヤニットが1万円台だったのに興奮して買ったのを覚えています。

 それらは、3万円以上する百貨店ブランドと比べてもまったく遜色ないクオリティだったからです。手にした瞬間、洋服の価格に対する固定観念が見事に覆されました。知り合いの業界紙の記者も、驚きを隠せない様子でした。そのとき買ったウールジャケットとベロアジャケットはいまでも型崩れせず、生地もそれほど痛まず、着用しています。

 

 +Jの次に登場したのが、日本人デザイナー、高橋盾が手がけるストリート発ブランド「アンダーカバー」とのコラボコレクション「UU」です。2012年3月、銀座のグローバル旗艦店のオープンに合わせて発表。家族をキーワードとしたコレクションは、おしゃれな子育てファミリーの人気を集めました。

 

  さらに、2015年10月には、パリ発のLEMAIRE(ルメール)とのコラボレーション「UNIQLO AND LEMAIRE」を発売。ルメールは、ラコステやエルメスのアーティスティックディレクターを歴任したクリストフ・ルメールとサラ-リン・トランのブランドです。

 このブランドでは、Aラインシルエットの黒の中綿付きフードコート、黒の裏地付きウール混ジャージパンツ、黒のカシミヤロングVネットセーターなどを購入。ルメールらしいミニマルなデザインで上質な素材を使ったコレクションは、上品カジュアルな着こなしにぴったりで、仕事着としても結構重宝しました。

 

 その3に続く。

 

2017年

9月

28日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その1

   ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」が、先週22日に発売されたので、早速購入して試着してみました。J.W.アンダーソンは、ロンドンを代表する最も革新的な新世代デザイナーとしていま注目を集める人物です。 

 

 まずは、事前にチェックしておいた商品をオンラインストアで夜中の3時に購入。しかし、どうしてもサイズが気になったので、開店直後のユニクロ・ルクアイーレ店(大阪梅田)に行って確認することに。同店は15日にオープンしたばかりの新店です。オンラインで購入した商品は、翌日夕方の到着になっていたので、早く実物を見たいという思いもありました。

 

 実際、実物を見て感じたことは、やはりユニクロのデザイナーズコラボは完成度が高い、ということ。デザインはもちろんのこと、使っている素材や技術を考えると、「これが2990円!! こっちも3990円!! うそでしょ」と、思わず声が出てしまいそうなクオリティの高さです。

 もちろんデザインも、私好み。派手でセクシーなH&Mのデザイナーズコラボとは違い、ユニクロのデザイナーズコラボは、究極のベーシックをめざすユニクロらしく、普段に着こなしやすい点が気に入っています。

 今回のJ.W.アンダーソンとのコラボ商品も、英国ブランドらしくトラッドテイストを取り入れたベーシックアイテムばかり。ネットでチェックしたところ、買わないと後悔しそうなコレクションだったので、喜び勇んで購入しました。

 

 ただし、オンラインストアで注意しなければならないのが、サイズ。同じMサイズでも、アイテムやデザインによって若干異なるため、とくに新作は試着してからの購入が無難です。私の場合、ユニクロの商品は通常、Mサイズを注文するのですが、案の定、J.W.アンダーソンはニットのサイズ感が想像していたのと違っていました。布帛を使用した巻きスカートとラッフルブラウスは想像通りでしたが、セーターが見るからに大きいのです。

 

 購入したのは、袖先をリボンでくくるデザインが可愛いオーバーサイズのタートルネックセーターと、袖と身頃の素材が異なるVネックのケーブルセーターで、どちらも身幅が広いうえ、袖の異様な長さに驚きました。試着せずとも、ひと目で大きいとわかったので、店のスタッフに尋ねたところ、「そうですね。私も少し大きいなぁ、と思いました」とのこと。アジア人よりも欧米人の体型を意識したサイズ展開なのでしょうか。

 

 とはいえ、デザインや素材感は期待通り。前回のデザイナーズコラボ「UNIQLO AND LEMAIRE(ルメール)」よりもデザインが凝っていて、カジュアルな着こなしにも使えそうなので、大満足です。

 

 

 というわけで、セーター2着は、店頭でSサイズを再購入。オンラインストアから翌日届いた商品は、店頭にて返品となりました。

 

 ちみなに、ユニクロのリリースによると「UNIQLO and JW ANDERSON」の商品特徴は以下の通り。

 

●英国の伝統ある装いをモダンにアレンジした革新的なラインナップ

 

●英国ファッションを象徴する定番のワードローブをベースに、ビビッドで大胆な配色に代表されるJW ANDERSONならではのデザインと、ユニクロが追求する上質な素材とフィット、機能性を融合

 

●ユニクロの代名詞とも言えるヒートテックや、日本のデニム生地メーカー、カイハラの生地を使った上質なはき心地と味わい深いビンテージ加工を施したデニムも展開

 

 次回は、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみたいと思います。

 

2017年

9月

21日

普通の販売員はもう要らない

「普通の販売員はもう要らないと思います」

 

 ネット通販が勢いを増し、リアル店舗が苦戦するファッション業界。

 

 こんな時代に、販売員としてどんなことをモットーに仕事をしていますか?という問いに、大阪にある某商業施設のファッション専門店店長が、こう答えてくれました。

 

 「普通の販売員はもう要らない」という言葉の裏には、顧客が求める接客でなければ、逆にうっとうしがられてしまう、そんな販売員はこれからの時代に生き残れないという、強い危機感があります。彼女自身も元々接客されるのが嫌いだったとか。

 

 「たがらこそ、ネット通販ではできない、お客様の心を動かすような接客をしたい」

 

 「ミュージシャンのライブで気持ちが揚がるように、そんな感動と喜びを洋服の販売を通して与えることができるはず」

 

 「店のスタッフにも、店頭でパフォーマンスができるようにアドバイスしている」といいます。

 

 彼女は、“関西一の売り上げ”を目標に掲げ、1年後に達成した敏腕店長です。「売り上げ達成は、スタッフのモチベーションしだい」といい、店長業務のなかでも、スタッフのモチベーション管理をとくに徹底しています。

 

 そんな彼女を敏腕店長に育てたのが、ブランドのエリアマネージャーだそうです。マネージャーの仕事に対する姿勢やアドバイスの一言一言が、彼女の意識を変え、人生観にまで大きな影響を与えました。

 

 そのせいか、取材での対応も完璧で、言葉を選びながらこちらの質問に的確に答えてくれました。店長の立場で伝えるべきこと、会社の考えはもちろん、自分の思いもきちんとわかりやすく相手に伝えられるのも、普段から目的意識が高く、自分のすべき役割に対して真摯に取り組んでいるからなのでしょう。

 

 20代の若き店長に、ファッション業界が今後歩むべき姿をかいま見ることができました。

 

 この会社の広報担当者に聞くと、同社には、人間力と指導力のある魅力的なエリアマネージャーが何人も揃っているのだとか。

 

 インターネットを中心とした情報化社会に対応できず、既存のアパレル業界はいま瀕死の状態と巷間伝えられています。そんななか、業界が今後復活できるとすれば、20代の彼女がいみじくも伝えようとしていた「人間力」が重要なキーワードになると思います。

 

 人手不足やコストなどの問題ばかりに気が取られ、企業にとって一番大事な「人を育てる」ことを軽視してきたアパレル業界も、早く意識を変えないと、ホントに“誰かに殺されてしまう”のではないでしょうか。

 

2017年

9月

19日

“専門職大学”のこと、知ってますか 2

 

   1では、専門職大学の概要と、創設される背景について触れましたが、その実態はどうなっているのでょう。

 

   管轄する文部科学省のホームページによると

「医学、歯学、6年制の薬学、獣医学の分野を除き、専門職大学の職業分野は限定されていないが、いわゆる成長分野などが中心になると想定される。例えば、観光、食と農業、IT・コンテンツなどの分野が考えられる」といいます。

 

   では、もはや危機に瀕しているといわれているファッション分野についてはどうなんでしょうか。関係者の話によると、いまのところ、専門職大学の設置申請をするのは、学校法人日本教育財団(旧モード学園)だけのようです。同校は、医療などの分野で複数の専門職大学を申請し、ファッション分野では「国際ファッション専門職大学(仮称)」を開校するようです。

 

   なぜ、他の専門学校は専門職大学の申請をしないのでしょうか。その理由はハードルの高い設置基準にあります。

 

   文科省のホームページによると、専門職大学の教育内容は「その専門性が求められる職業についている者、関連事業を行う者の協力を得て、産業界と連携した教育を実施することが義務付けられている」

   したがって、卒業単位の3~4割程度以上が企業実習等にあてられ、4年間で20単位以上が必要と決められています。

 

   また、ここからが重要なのですが、「必要な専任教員数の4割以上が実務家教員とし、その半数以上は研究能力を併せ有する実務家教員とする」ということです。

 実務家教員というのは、例えば、ファッション業界で5年以上、該当する専攻分野の実務に携わってきた人のことを指します。販売、バイヤー、MD、VMD、マネージャーなど5年の実務経験があれば、教員資格があります。

   

   ところが、その半数は大学などでの教員歴、修士以上の学位、または企業などでの研究上の業績を有する者でなければならないととされています。その理由は、1にも触れたように、専門職大学では、専門学校とは異なり、技能だけでは対応できない応用力が求められるからだといいます。

 

   この設置基準だと、服飾専門学校が専門職大学を開設するのは、非常に困難になってきます。ファッション業界でいま活躍している人のなかに、大学の教員歴がある人や修士を持っている人がどれだけいるでしょうか。

   最近は、ファッション業界にも経営学修士(MBA)を持つ執行役員や現場リーダーが増えてきましたが、それでも人材不足は否めません。この設置基準が緩和されないかぎり、実務家教員を必要数確保できないのが現状です。

 

   さらに、学生一人当たりの敷地面積や校舎の面積なども、基本的には大学と同等かそれに近い設置基準が求められています。

 

   「こんな厳しい設置基準では、専門学校では対応できない」と、ある服飾専門学校の関係者は話します。専門学校の社会的地位向上や学生数の確保などを狙い、新たな学校運営の柱として専門職大学の開設を検討してきた学校は多いようですが、ここにきて設置基準の面で断念した学校も多く、学生側からすれば、選択肢が限られることになります。

 

   ただ、少子化社会にもかかわらず、雨後の筍のように私学の大学が増えたことを考えると、学校数が限定されるのは悪いことではないかもしれません。大切なのは、学校数ではなくて、創設された学校でいかに充実した教育サービスを受けられるかということです。社会人にとっても、学び直しの場にもなるので、今後、注目していきたいと思います。

  

2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その3

   クリストフ・ルメールはその後、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」が、2016年秋冬に全世界で発売されました。

 

 私が購入したのは、カシミヤ100%のリブクルーネックセーターと、カシミヤ100%タートルネックセーター、カシミヤ混ニットワンピース、ドット柄が可愛い極細ラムウールのクルーネックセーターなど。

 なかでも、リブのクルーネックとニットワンピースは、島精機製作所のホールガーメントでしたが、この段階ではまだ、「ホールガーメント」の表示はなく、「シームレス(縫い目がない)」とだけ説明されていました。

 ホールガーメントのカシミヤ100%のクルーネックは、フィット感はもちろん、肌触りもいいので、肌着として着用。価格は9990円と安くはありませんが、カシミヤ100%なのでヒートテックよりも暖かいのでおすすめです。

 ただ、購入1週間後に、衿ぐりの糸が切れてほどけてしまい、店頭で交換してもらいました。衿ぐりの仕様はホールガーメントではなく、縫製だったようです。

 また、ブルーのドット柄セーターはシーズン中、着倒しました。

 

 「Uniqlo U」の無縫製ニットは、今シーズン、「3D U-Knit」として登場します。

ユニクロと島精機製作所との合弁で昨年設立された「イノベーションファクトリ ー」が手がける、ホールガーメント技術を駆使した新しいニットコレクションです。

 

 立体的に編み上げているため縫い目がなく、美しいシルエットと着心地の良さが魅力。いままでは主に高級ブランドで使われていた技術を採用したニットドレスは、ニットの概念を変え、きっと多くの女性から支持されるでしょう。

 私が狙っているのは「3Dメリノリブモックネックワンピース」と「3DメリノリブVネックワンピース」。いずれも5990円で、ホールガーメントの概念も変えてしまう挑戦的な価格で発売されます。

 

 今シーズンのコラボパートナーに選んだJ.W.アンダーソンが、コメントしているように、ユニクロとのコラボは「最も優れたファッションの民主化のモデルケース」です。世界の一流デザイナーが、ユニクロの生産技術力を最大限活用して作ったファッション性の高い洋服を、誰もが手の届く価格で提供する。ユニクロのデザイナーズコラボは、究極の服づくりへの挑戦という点で、他社のコラボ企画とは一線を画しているといえるでしょう。

 

 

●2006年秋冬

秋冬の戦略商品として、「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」始動 

 

●2009年秋冬

ジル・サンダー氏デザインによるコレクション「+J(プラスジェイ)」がデビュー 

 

●2011年秋冬

「+J」のラストコレクション。ジル・サンダー氏とのデザインコンサルティング契約が終了

 

●2012年春夏

アンダーカバーとのコラボレーションによる初の“家族”のためのコレクション「UU(ユニクロ アンダーカバー)」スタート 

 

●2015年秋冬

ユニクロとLEMAIRE(ルメール)のコラボレーション商品「UNIQLO AND LEMAIRE」発売 

 

●2016年秋冬

クリストフ・ルメール氏、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」発売

 

●2016年秋冬

コンフォートウエアの新しい提案「HANA TAJIMA FOR UNIQLO」発売 

 

●2017年秋冬

英国ブランド、JW ANDERSONとのコラボレーション「UNIQLO and JW ANDERSON」発売

 

●2017年秋冬

「Uniqlo U (ユニクロ ユー)」に、美しいシルエットと着心地のよさを兼ね備えた「3D U-Knit」誕生 

 

2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる その2

 

   前回、ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」について書きましたが、先日、ルクアイーレ店に行ってみると、購入した商品はS、 Mサイズ共に完売していました。かつての勢いはないものの、ユニクロのデザイナーズコラボ人気は健在のようです。

 

 そこで、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみましょう。

 

 私が初めて購入したのは、2008年5月に発売された「Alexander Wang(アレキサンダー・ワン)」の白いノースリーブワンピースでした。参考資料として購入したので一度も着用していませんが、いまも衣装ケースに保管しています。

 

 当時はニューヨークコレクションにデビューしたばかりの新進気鋭のデザイナーで、注目株のひとりでした。ユニクロが2006年に始めた「Designers Invitation Project(デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト)」の第3弾に登場。このプロジェクトは、パリコレや東京コレクションで活躍する新進気鋭のデザイナーを招聘し、ファッション性の高い商品を創り出すのが狙いで、過去には3.1フィリップ リムも招聘されていました。

 その後、アレキサンダー・ワンはGAP、H&Mともコラボレーションし、いまではニューヨークを代表する世界的なファッションデザイナーとして活躍しています。

 

 ユニクロにとって、海外のファッションデザイナーとのコラボは、グローバル戦略に欠かせない取り組みだったといえます。機能性が高く、低価格の日本ブランドというだけでは、日本国内で高く評価されても、世界市場で受け入れられるとは限りません。ヒートテックやフリースはユニクロを代表するアイテムですが、それだけでは、ユニクロという企業ブランドを海外で浸透させるのはむずかしかったでしょう。

 欧米で支持されているファッションデザイナーとの取り組みは、ものづくりに妥協を許さないユニクロの企業理念と技術力の高さ、それを叶える万全の生産体制を世界に知らしめることにつながったわけです。

 

 それを実感したのが、2009年秋冬にデビューした、ジル・サンダーとのコラボプロジェクト「+J(プラスジェイ)」でした。新進のデザイナーではなく、ファッション界の超大物との取り組みは、ユニクロの世界戦略においてひとつの転機になったといえます。

 低価格のベーシックウェアを代表するユニクロと、ミニマルかつ構築的なモードの女王、ジル・サンダーとのコラボは、その完成度の高さと破格の価格設定でファッション業界人をも驚かせました。

 

 当時、ユニクロ銀座店のリニューアルの内覧会と同時に「+J」のお披露目会があり、私も興味津々で参加。ウールのジャケットが1万円以下、カシミヤニットが1万円台だったのに興奮して買ったのを覚えています。

 それらは、3万円以上する百貨店ブランドと比べてもまったく遜色ないクオリティだったからです。手にした瞬間、洋服の価格に対する固定観念が見事に覆されました。知り合いの業界紙の記者も、驚きを隠せない様子でした。そのとき買ったウールジャケットとベロアジャケットはいまでも型崩れせず、生地もそれほど痛まず、着用しています。

 

 +Jの次に登場したのが、日本人デザイナー、高橋盾が手がけるストリート発ブランド「アンダーカバー」とのコラボコレクション「UU」です。2012年3月、銀座のグローバル旗艦店のオープンに合わせて発表。家族をキーワードとしたコレクションは、おしゃれな子育てファミリーの人気を集めました。

 

  さらに、2015年10月には、パリ発のLEMAIRE(ルメール)とのコラボレーション「UNIQLO AND LEMAIRE」を発売。ルメールは、ラコステやエルメスのアーティスティックディレクターを歴任したクリストフ・ルメールとサラ-リン・トランのブランドです。

 このブランドでは、Aラインシルエットの黒の中綿付きフードコート、黒の裏地付きウール混ジャージパンツ、黒のカシミヤロングVネットセーターなどを購入。ルメールらしいミニマルなデザインで上質な素材を使ったコレクションは、上品カジュアルな着こなしにぴったりで、仕事着としても結構重宝しました。

 

 その3に続く。

 

2017年

9月

28日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その1

   ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」が、先週22日に発売されたので、早速購入して試着してみました。J.W.アンダーソンは、ロンドンを代表する最も革新的な新世代デザイナーとしていま注目を集める人物です。 

 

 まずは、事前にチェックしておいた商品をオンラインストアで夜中の3時に購入。しかし、どうしてもサイズが気になったので、開店直後のユニクロ・ルクアイーレ店(大阪梅田)に行って確認することに。同店は15日にオープンしたばかりの新店です。オンラインで購入した商品は、翌日夕方の到着になっていたので、早く実物を見たいという思いもありました。

 

 実際、実物を見て感じたことは、やはりユニクロのデザイナーズコラボは完成度が高い、ということ。デザインはもちろんのこと、使っている素材や技術を考えると、「これが2990円!! こっちも3990円!! うそでしょ」と、思わず声が出てしまいそうなクオリティの高さです。

 もちろんデザインも、私好み。派手でセクシーなH&Mのデザイナーズコラボとは違い、ユニクロのデザイナーズコラボは、究極のベーシックをめざすユニクロらしく、普段に着こなしやすい点が気に入っています。

 今回のJ.W.アンダーソンとのコラボ商品も、英国ブランドらしくトラッドテイストを取り入れたベーシックアイテムばかり。ネットでチェックしたところ、買わないと後悔しそうなコレクションだったので、喜び勇んで購入しました。

 

 ただし、オンラインストアで注意しなければならないのが、サイズ。同じMサイズでも、アイテムやデザインによって若干異なるため、とくに新作は試着してからの購入が無難です。私の場合、ユニクロの商品は通常、Mサイズを注文するのですが、案の定、J.W.アンダーソンはニットのサイズ感が想像していたのと違っていました。布帛を使用した巻きスカートとラッフルブラウスは想像通りでしたが、セーターが見るからに大きいのです。

 

 購入したのは、袖先をリボンでくくるデザインが可愛いオーバーサイズのタートルネックセーターと、袖と身頃の素材が異なるVネックのケーブルセーターで、どちらも身幅が広いうえ、袖の異様な長さに驚きました。試着せずとも、ひと目で大きいとわかったので、店のスタッフに尋ねたところ、「そうですね。私も少し大きいなぁ、と思いました」とのこと。アジア人よりも欧米人の体型を意識したサイズ展開なのでしょうか。

 

 とはいえ、デザインや素材感は期待通り。前回のデザイナーズコラボ「UNIQLO AND LEMAIRE(ルメール)」よりもデザインが凝っていて、カジュアルな着こなしにも使えそうなので、大満足です。

 

 

 というわけで、セーター2着は、店頭でSサイズを再購入。オンラインストアから翌日届いた商品は、店頭にて返品となりました。

 

 ちみなに、ユニクロのリリースによると「UNIQLO and JW ANDERSON」の商品特徴は以下の通り。

 

●英国の伝統ある装いをモダンにアレンジした革新的なラインナップ

 

●英国ファッションを象徴する定番のワードローブをベースに、ビビッドで大胆な配色に代表されるJW ANDERSONならではのデザインと、ユニクロが追求する上質な素材とフィット、機能性を融合

 

●ユニクロの代名詞とも言えるヒートテックや、日本のデニム生地メーカー、カイハラの生地を使った上質なはき心地と味わい深いビンテージ加工を施したデニムも展開

 

 次回は、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみたいと思います。

 

2017年

9月

21日

普通の販売員はもう要らない

「普通の販売員はもう要らないと思います」

 

 ネット通販が勢いを増し、リアル店舗が苦戦するファッション業界。

 

 こんな時代に、販売員としてどんなことをモットーに仕事をしていますか?という問いに、大阪にある某商業施設のファッション専門店店長が、こう答えてくれました。

 

 「普通の販売員はもう要らない」という言葉の裏には、顧客が求める接客でなければ、逆にうっとうしがられてしまう、そんな販売員はこれからの時代に生き残れないという、強い危機感があります。彼女自身も元々接客されるのが嫌いだったとか。

 

 「たがらこそ、ネット通販ではできない、お客様の心を動かすような接客をしたい」

 

 「ミュージシャンのライブで気持ちが揚がるように、そんな感動と喜びを洋服の販売を通して与えることができるはず」

 

 「店のスタッフにも、店頭でパフォーマンスができるようにアドバイスしている」といいます。

 

 彼女は、“関西一の売り上げ”を目標に掲げ、1年後に達成した敏腕店長です。「売り上げ達成は、スタッフのモチベーションしだい」といい、店長業務のなかでも、スタッフのモチベーション管理をとくに徹底しています。

 

 そんな彼女を敏腕店長に育てたのが、ブランドのエリアマネージャーだそうです。マネージャーの仕事に対する姿勢やアドバイスの一言一言が、彼女の意識を変え、人生観にまで大きな影響を与えました。

 

 そのせいか、取材での対応も完璧で、言葉を選びながらこちらの質問に的確に答えてくれました。店長の立場で伝えるべきこと、会社の考えはもちろん、自分の思いもきちんとわかりやすく相手に伝えられるのも、普段から目的意識が高く、自分のすべき役割に対して真摯に取り組んでいるからなのでしょう。

 

 20代の若き店長に、ファッション業界が今後歩むべき姿をかいま見ることができました。

 

 この会社の広報担当者に聞くと、同社には、人間力と指導力のある魅力的なエリアマネージャーが何人も揃っているのだとか。

 

 インターネットを中心とした情報化社会に対応できず、既存のアパレル業界はいま瀕死の状態と巷間伝えられています。そんななか、業界が今後復活できるとすれば、20代の彼女がいみじくも伝えようとしていた「人間力」が重要なキーワードになると思います。

 

 人手不足やコストなどの問題ばかりに気が取られ、企業にとって一番大事な「人を育てる」ことを軽視してきたアパレル業界も、早く意識を変えないと、ホントに“誰かに殺されてしまう”のではないでしょうか。

 

2017年

9月

19日

“専門職大学”のこと、知ってますか 2

 

   1では、専門職大学の概要と、創設される背景について触れましたが、その実態はどうなっているのでょう。

 

   管轄する文部科学省のホームページによると

「医学、歯学、6年制の薬学、獣医学の分野を除き、専門職大学の職業分野は限定されていないが、いわゆる成長分野などが中心になると想定される。例えば、観光、食と農業、IT・コンテンツなどの分野が考えられる」といいます。

 

   では、もはや危機に瀕しているといわれているファッション分野についてはどうなんでしょうか。関係者の話によると、いまのところ、専門職大学の設置申請をするのは、学校法人日本教育財団(旧モード学園)だけのようです。同校は、医療などの分野で複数の専門職大学を申請し、ファッション分野では「国際ファッション専門職大学(仮称)」を開校するようです。

 

   なぜ、他の専門学校は専門職大学の申請をしないのでしょうか。その理由はハードルの高い設置基準にあります。

 

   文科省のホームページによると、専門職大学の教育内容は「その専門性が求められる職業についている者、関連事業を行う者の協力を得て、産業界と連携した教育を実施することが義務付けられている」

   したがって、卒業単位の3~4割程度以上が企業実習等にあてられ、4年間で20単位以上が必要と決められています。

 

   また、ここからが重要なのですが、「必要な専任教員数の4割以上が実務家教員とし、その半数以上は研究能力を併せ有する実務家教員とする」ということです。

 実務家教員というのは、例えば、ファッション業界で5年以上、該当する専攻分野の実務に携わってきた人のことを指します。販売、バイヤー、MD、VMD、マネージャーなど5年の実務経験があれば、教員資格があります。

   

   ところが、その半数は大学などでの教員歴、修士以上の学位、または企業などでの研究上の業績を有する者でなければならないととされています。その理由は、1にも触れたように、専門職大学では、専門学校とは異なり、技能だけでは対応できない応用力が求められるからだといいます。

 

   この設置基準だと、服飾専門学校が専門職大学を開設するのは、非常に困難になってきます。ファッション業界でいま活躍している人のなかに、大学の教員歴がある人や修士を持っている人がどれだけいるでしょうか。

   最近は、ファッション業界にも経営学修士(MBA)を持つ執行役員や現場リーダーが増えてきましたが、それでも人材不足は否めません。この設置基準が緩和されないかぎり、実務家教員を必要数確保できないのが現状です。

 

   さらに、学生一人当たりの敷地面積や校舎の面積なども、基本的には大学と同等かそれに近い設置基準が求められています。

 

   「こんな厳しい設置基準では、専門学校では対応できない」と、ある服飾専門学校の関係者は話します。専門学校の社会的地位向上や学生数の確保などを狙い、新たな学校運営の柱として専門職大学の開設を検討してきた学校は多いようですが、ここにきて設置基準の面で断念した学校も多く、学生側からすれば、選択肢が限られることになります。

 

   ただ、少子化社会にもかかわらず、雨後の筍のように私学の大学が増えたことを考えると、学校数が限定されるのは悪いことではないかもしれません。大切なのは、学校数ではなくて、創設された学校でいかに充実した教育サービスを受けられるかということです。社会人にとっても、学び直しの場にもなるので、今後、注目していきたいと思います。

  

2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その3

   クリストフ・ルメールはその後、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」が、2016年秋冬に全世界で発売されました。

 

 私が購入したのは、カシミヤ100%のリブクルーネックセーターと、カシミヤ100%タートルネックセーター、カシミヤ混ニットワンピース、ドット柄が可愛い極細ラムウールのクルーネックセーターなど。

 なかでも、リブのクルーネックとニットワンピースは、島精機製作所のホールガーメントでしたが、この段階ではまだ、「ホールガーメント」の表示はなく、「シームレス(縫い目がない)」とだけ説明されていました。

 ホールガーメントのカシミヤ100%のクルーネックは、フィット感はもちろん、肌触りもいいので、肌着として着用。価格は9990円と安くはありませんが、カシミヤ100%なのでヒートテックよりも暖かいのでおすすめです。

 ただ、購入1週間後に、衿ぐりの糸が切れてほどけてしまい、店頭で交換してもらいました。衿ぐりの仕様はホールガーメントではなく、縫製だったようです。

 また、ブルーのドット柄セーターはシーズン中、着倒しました。

 

 「Uniqlo U」の無縫製ニットは、今シーズン、「3D U-Knit」として登場します。

ユニクロと島精機製作所との合弁で昨年設立された「イノベーションファクトリ ー」が手がける、ホールガーメント技術を駆使した新しいニットコレクションです。

 

 立体的に編み上げているため縫い目がなく、美しいシルエットと着心地の良さが魅力。いままでは主に高級ブランドで使われていた技術を採用したニットドレスは、ニットの概念を変え、きっと多くの女性から支持されるでしょう。

 私が狙っているのは「3Dメリノリブモックネックワンピース」と「3DメリノリブVネックワンピース」。いずれも5990円で、ホールガーメントの概念も変えてしまう挑戦的な価格で発売されます。

 

 今シーズンのコラボパートナーに選んだJ.W.アンダーソンが、コメントしているように、ユニクロとのコラボは「最も優れたファッションの民主化のモデルケース」です。世界の一流デザイナーが、ユニクロの生産技術力を最大限活用して作ったファッション性の高い洋服を、誰もが手の届く価格で提供する。ユニクロのデザイナーズコラボは、究極の服づくりへの挑戦という点で、他社のコラボ企画とは一線を画しているといえるでしょう。

 

 

●2006年秋冬

秋冬の戦略商品として、「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」始動 

 

●2009年秋冬

ジル・サンダー氏デザインによるコレクション「+J(プラスジェイ)」がデビュー 

 

●2011年秋冬

「+J」のラストコレクション。ジル・サンダー氏とのデザインコンサルティング契約が終了

 

●2012年春夏

アンダーカバーとのコラボレーションによる初の“家族”のためのコレクション「UU(ユニクロ アンダーカバー)」スタート 

 

●2015年秋冬

ユニクロとLEMAIRE(ルメール)のコラボレーション商品「UNIQLO AND LEMAIRE」発売 

 

●2016年秋冬

クリストフ・ルメール氏、ユニクロパリR&Dセンターのアーティスティックディレクターに就任。パリ発の新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」発売

 

●2016年秋冬

コンフォートウエアの新しい提案「HANA TAJIMA FOR UNIQLO」発売 

 

●2017年秋冬

英国ブランド、JW ANDERSONとのコラボレーション「UNIQLO and JW ANDERSON」発売

 

●2017年秋冬

「Uniqlo U (ユニクロ ユー)」に、美しいシルエットと着心地のよさを兼ね備えた「3D U-Knit」誕生 

 

2017年

10月

01日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる その2

 

   前回、ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」について書きましたが、先日、ルクアイーレ店に行ってみると、購入した商品はS、 Mサイズ共に完売していました。かつての勢いはないものの、ユニクロのデザイナーズコラボ人気は健在のようです。

 

 そこで、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみましょう。

 

 私が初めて購入したのは、2008年5月に発売された「Alexander Wang(アレキサンダー・ワン)」の白いノースリーブワンピースでした。参考資料として購入したので一度も着用していませんが、いまも衣装ケースに保管しています。

 

 当時はニューヨークコレクションにデビューしたばかりの新進気鋭のデザイナーで、注目株のひとりでした。ユニクロが2006年に始めた「Designers Invitation Project(デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト)」の第3弾に登場。このプロジェクトは、パリコレや東京コレクションで活躍する新進気鋭のデザイナーを招聘し、ファッション性の高い商品を創り出すのが狙いで、過去には3.1フィリップ リムも招聘されていました。

 その後、アレキサンダー・ワンはGAP、H&Mともコラボレーションし、いまではニューヨークを代表する世界的なファッションデザイナーとして活躍しています。

 

 ユニクロにとって、海外のファッションデザイナーとのコラボは、グローバル戦略に欠かせない取り組みだったといえます。機能性が高く、低価格の日本ブランドというだけでは、日本国内で高く評価されても、世界市場で受け入れられるとは限りません。ヒートテックやフリースはユニクロを代表するアイテムですが、それだけでは、ユニクロという企業ブランドを海外で浸透させるのはむずかしかったでしょう。

 欧米で支持されているファッションデザイナーとの取り組みは、ものづくりに妥協を許さないユニクロの企業理念と技術力の高さ、それを叶える万全の生産体制を世界に知らしめることにつながったわけです。

 

 それを実感したのが、2009年秋冬にデビューした、ジル・サンダーとのコラボプロジェクト「+J(プラスジェイ)」でした。新進のデザイナーではなく、ファッション界の超大物との取り組みは、ユニクロの世界戦略においてひとつの転機になったといえます。

 低価格のベーシックウェアを代表するユニクロと、ミニマルかつ構築的なモードの女王、ジル・サンダーとのコラボは、その完成度の高さと破格の価格設定でファッション業界人をも驚かせました。

 

 当時、ユニクロ銀座店のリニューアルの内覧会と同時に「+J」のお披露目会があり、私も興味津々で参加。ウールのジャケットが1万円以下、カシミヤニットが1万円台だったのに興奮して買ったのを覚えています。

 それらは、3万円以上する百貨店ブランドと比べてもまったく遜色ないクオリティだったからです。手にした瞬間、洋服の価格に対する固定観念が見事に覆されました。知り合いの業界紙の記者も、驚きを隠せない様子でした。そのとき買ったウールジャケットとベロアジャケットはいまでも型崩れせず、生地もそれほど痛まず、着用しています。

 

 +Jの次に登場したのが、日本人デザイナー、高橋盾が手がけるストリート発ブランド「アンダーカバー」とのコラボコレクション「UU」です。2012年3月、銀座のグローバル旗艦店のオープンに合わせて発表。家族をキーワードとしたコレクションは、おしゃれな子育てファミリーの人気を集めました。

 

  さらに、2015年10月には、パリ発のLEMAIRE(ルメール)とのコラボレーション「UNIQLO AND LEMAIRE」を発売。ルメールは、ラコステやエルメスのアーティスティックディレクターを歴任したクリストフ・ルメールとサラ-リン・トランのブランドです。

 このブランドでは、Aラインシルエットの黒の中綿付きフードコート、黒の裏地付きウール混ジャージパンツ、黒のカシミヤロングVネットセーターなどを購入。ルメールらしいミニマルなデザインで上質な素材を使ったコレクションは、上品カジュアルな着こなしにぴったりで、仕事着としても結構重宝しました。

 

 その3に続く。

 

2017年

9月

28日

ユニクロのデザイナーズコラボにはまる  その1

   ユニクロと英国のファッションデザイナー、J.W.アンダーソンとのコラボコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」が、先週22日に発売されたので、早速購入して試着してみました。J.W.アンダーソンは、ロンドンを代表する最も革新的な新世代デザイナーとしていま注目を集める人物です。 

 

 まずは、事前にチェックしておいた商品をオンラインストアで夜中の3時に購入。しかし、どうしてもサイズが気になったので、開店直後のユニクロ・ルクアイーレ店(大阪梅田)に行って確認することに。同店は15日にオープンしたばかりの新店です。オンラインで購入した商品は、翌日夕方の到着になっていたので、早く実物を見たいという思いもありました。

 

 実際、実物を見て感じたことは、やはりユニクロのデザイナーズコラボは完成度が高い、ということ。デザインはもちろんのこと、使っている素材や技術を考えると、「これが2990円!! こっちも3990円!! うそでしょ」と、思わず声が出てしまいそうなクオリティの高さです。

 もちろんデザインも、私好み。派手でセクシーなH&Mのデザイナーズコラボとは違い、ユニクロのデザイナーズコラボは、究極のベーシックをめざすユニクロらしく、普段に着こなしやすい点が気に入っています。

 今回のJ.W.アンダーソンとのコラボ商品も、英国ブランドらしくトラッドテイストを取り入れたベーシックアイテムばかり。ネットでチェックしたところ、買わないと後悔しそうなコレクションだったので、喜び勇んで購入しました。

 

 ただし、オンラインストアで注意しなければならないのが、サイズ。同じMサイズでも、アイテムやデザインによって若干異なるため、とくに新作は試着してからの購入が無難です。私の場合、ユニクロの商品は通常、Mサイズを注文するのですが、案の定、J.W.アンダーソンはニットのサイズ感が想像していたのと違っていました。布帛を使用した巻きスカートとラッフルブラウスは想像通りでしたが、セーターが見るからに大きいのです。

 

 購入したのは、袖先をリボンでくくるデザインが可愛いオーバーサイズのタートルネックセーターと、袖と身頃の素材が異なるVネックのケーブルセーターで、どちらも身幅が広いうえ、袖の異様な長さに驚きました。試着せずとも、ひと目で大きいとわかったので、店のスタッフに尋ねたところ、「そうですね。私も少し大きいなぁ、と思いました」とのこと。アジア人よりも欧米人の体型を意識したサイズ展開なのでしょうか。

 

 とはいえ、デザインや素材感は期待通り。前回のデザイナーズコラボ「UNIQLO AND LEMAIRE(ルメール)」よりもデザインが凝っていて、カジュアルな着こなしにも使えそうなので、大満足です。

 

 

 というわけで、セーター2着は、店頭でSサイズを再購入。オンラインストアから翌日届いた商品は、店頭にて返品となりました。

 

 ちみなに、ユニクロのリリースによると「UNIQLO and JW ANDERSON」の商品特徴は以下の通り。

 

●英国の伝統ある装いをモダンにアレンジした革新的なラインナップ

 

●英国ファッションを象徴する定番のワードローブをベースに、ビビッドで大胆な配色に代表されるJW ANDERSONならではのデザインと、ユニクロが追求する上質な素材とフィット、機能性を融合

 

●ユニクロの代名詞とも言えるヒートテックや、日本のデニム生地メーカー、カイハラの生地を使った上質なはき心地と味わい深いビンテージ加工を施したデニムも展開

 

 次回は、ユニクロのデザイナーズコラボの歴史を振り返ってみたいと思います。

 

2017年

9月

21日

普通の販売員はもう要らない

「普通の販売員はもう要らないと思います」

 

 ネット通販が勢いを増し、リアル店舗が苦戦するファッション業界。

 

 こんな時代に、販売員としてどんなことをモットーに仕事をしていますか?という問いに、大阪にある某商業施設のファッション専門店店長が、こう答えてくれました。

 

 「普通の販売員はもう要らない」という言葉の裏には、顧客が求める接客でなければ、逆にうっとうしがられてしまう、そんな販売員はこれからの時代に生き残れないという、強い危機感があります。彼女自身も元々接客されるのが嫌いだったとか。

 

 「たがらこそ、ネット通販ではできない、お客様の心を動かすような接客をしたい」

 

 「ミュージシャンのライブで気持ちが揚がるように、そんな感動と喜びを洋服の販売を通して与えることができるはず」

 

 「店のスタッフにも、店頭でパフォーマンスができるようにアドバイスしている」といいます。

 

 彼女は、“関西一の売り上げ”を目標に掲げ、1年後に達成した敏腕店長です。「売り上げ達成は、スタッフのモチベーションしだい」といい、店長業務のなかでも、スタッフのモチベーション管理をとくに徹底しています。

 

 そんな彼女を敏腕店長に育てたのが、ブランドのエリアマネージャーだそうです。マネージャーの仕事に対する姿勢やアドバイスの一言一言が、彼女の意識を変え、人生観にまで大きな影響を与えました。

 

 そのせいか、取材での対応も完璧で、言葉を選びながらこちらの質問に的確に答えてくれました。店長の立場で伝えるべきこと、会社の考えはもちろん、自分の思いもきちんとわかりやすく相手に伝えられるのも、普段から目的意識が高く、自分のすべき役割に対して真摯に取り組んでいるからなのでしょう。

 

 20代の若き店長に、ファッション業界が今後歩むべき姿をかいま見ることができました。

 

 この会社の広報担当者に聞くと、同社には、人間力と指導力のある魅力的なエリアマネージャーが何人も揃っているのだとか。

 

 インターネットを中心とした情報化社会に対応できず、既存のアパレル業界はいま瀕死の状態と巷間伝えられています。そんななか、業界が今後復活できるとすれば、20代の彼女がいみじくも伝えようとしていた「人間力」が重要なキーワードになると思います。

 

 人手不足やコストなどの問題ばかりに気が取られ、企業にとって一番大事な「人を育てる」ことを軽視してきたアパレル業界も、早く意識を変えないと、ホントに“誰かに殺されてしまう”のではないでしょうか。

 

2017年

9月

19日

“専門職大学”のこと、知ってますか 2

 

   1では、専門職大学の概要と、創設される背景について触れましたが、その実態はどうなっているのでょう。

 

   管轄する文部科学省のホームページによると

「医学、歯学、6年制の薬学、獣医学の分野を除き、専門職大学の職業分野は限定されていないが、いわゆる成長分野などが中心になると想定される。例えば、観光、食と農業、IT・コンテンツなどの分野が考えられる」といいます。

 

   では、もはや危機に瀕しているといわれているファッション分野についてはどうなんでしょうか。関係者の話によると、いまのところ、専門職大学の設置申請をするのは、学校法人日本教育財団(旧モード学園)だけのようです。同校は、医療などの分野で複数の専門職大学を申請し、ファッション分野では「国際ファッション専門職大学(仮称)」を開校するようです。

 

   なぜ、他の専門学校は専門職大学の申請をしないのでしょうか。その理由はハードルの高い設置基準にあります。

 

   文科省のホームページによると、専門職大学の教育内容は「その専門性が求められる職業についている者、関連事業を行う者の協力を得て、産業界と連携した教育を実施することが義務付けられている」

   したがって、卒業単位の3~4割程度以上が企業実習等にあてられ、4年間で20単位以上が必要と決められています。

 

   また、ここからが重要なのですが、「必要な専任教員数の4割以上が実務家教員とし、その半数以上は研究能力を併せ有する実務家教員とする」ということです。

 実務家教員というのは、例えば、ファッション業界で5年以上、該当する専攻分野の実務に携わってきた人のことを指します。販売、バイヤー、MD、VMD、マネージャーなど5年の実務経験があれば、教員資格があります。

   

   ところが、その半数は大学などでの教員歴、修士以上の学位、または企業などでの研究上の業績を有する者でなければならないととされています。その理由は、1にも触れたように、専門職大学では、専門学校とは異なり、技能だけでは対応できない応用力が求められるからだといいます。

 

   この設置基準だと、服飾専門学校が専門職大学を開設するのは、非常に困難になってきます。ファッション業界でいま活躍している人のなかに、大学の教員歴がある人や修士を持っている人がどれだけいるでしょうか。

   最近は、ファッション業界にも経営学修士(MBA)を持つ執行役員や現場リーダーが増えてきましたが、それでも人材不足は否めません。この設置基準が緩和されないかぎり、実務家教員を必要数確保できないのが現状です。

 

   さらに、学生一人当たりの敷地面積や校舎の面積なども、基本的には大学と同等かそれに近い設置基準が求められています。

 

   「こんな厳しい設置基準では、専門学校では対応できない」と、ある服飾専門学校の関係者は話します。専門学校の社会的地位向上や学生数の確保などを狙い、新たな学校運営の柱として専門職大学の開設を検討してきた学校は多いようですが、ここにきて設置基準の面で断念した学校も多く、学生側からすれば、選択肢が限られることになります。

 

   ただ、少子化社会にもかかわらず、雨後の筍のように私学の大学が増えたことを考えると、学校数が限定されるのは悪いことではないかもしれません。大切なのは、学校数ではなくて、創設された学校でいかに充実した教育サービスを受けられるかということです。社会人にとっても、学び直しの場にもなるので、今後、注目していきたいと思います。

  

フリーライターhassy

2017/09/19 09:34

“専門職大学”のこと、知ってますか 1

 専門職大学が、平成31年度に開学されます。

 今年3月、学校教育法を改正する法案が閣議決定され、5月には専門職大学の創設が正式に決まりました。10月には、設置認可申請の受付が始まるそうです。

 といっても、「専門職大学って何?」「そんな大学聞いたことがない」という人も多いのでは。専門分野の職業教育を行う大学であることはなんとなくイメージできますが、専門学校や大学との違いや具体的にどんなことが学べるのか、わからないことだらけ。そこで、管轄する文部科学省のホームページなどで概要を調べ、専門学校関係者から実態を聞きました。

 文科省のホームページによると、専門職大学とは

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」であり、「専門性に富み、従来の大学卒業生と同等以上の賃金・学位を得て、世界の産業革命をリードするような現場レベルの革新を牽引し得る高度職業人材を輩出する教育実施体制を備え、我が国の人材力を抜本的に強化する今までにない職業プロ養成機関」とのこと。

 平たくいえば、「産業イノベーションを起こしたり、新産業において中心的役割を担ったりできる、高度な専門能力や知識を持つ職業人を養成する教育機関」ということです。アパレル業界のように産業構造が変化し、そこで働く人に求められる能力や技術が急速に変わってきていること、産業界からはより実践的な教育のニーズがあること、学び直しのニーズへの対応などがその背景にあります。

 では、従来の大学や専門学校と何が大きく違うのでしょうか。

 文科省のホームページを要約すると、「大学は、比較的、学問的色彩が強いのに対して、専門職大学は、産業界と連携し、実践力や創造性を培う教育に重点を置かれている。また、専門学校は、教育課程や教員組織についても自由度が高いのに対して、専門職大学は、大学として必要な水準のものが求められ、卒業者には学士の学位が授与される」ということです。

 さらに、専門職大学に関連する記事を見てみると、専門学校では技能を教えられても、それを応用するための創造力や実践力、マネジメント能力までは教えられていないのが現状といいます。

 ここまでみてくると、専門職大学は、日本の産業の活性化やさらなる飛躍のために必要な教育機関であることは理解できます。ただ、実際は「設置基準が厳しく、専門学校のなかで専門職大学を開設する学校は少ないのでは」というのが、関係者のおおかたのみかたのようです。

   実態はどうなのでしょうか。