グンゼがメンズ肌着「YG」を全面刷新。合繊系機能性インナーに対抗

団塊ジュニアの定番インナーに全面刷新したYG
団塊ジュニアの定番インナーに全面刷新したYG

 グンゼは、2014年春夏ものからメンズ肌着ブランド「YG(ワイジー)」を全面刷新し、40代を中心とした団塊ジュニア向けの定番インナーとして展開していきます。同時に、カラフルなボクサーパンツが好評の「ボディワイルド」のターゲットを20~30代に絞り込み、ファッション性の高いヤング向けブランドとして提案していきます。

 

 YGは1971年に発売された、グンゼの歴史を代表する肌着ブランド。YGの主力商品である綿100%の白シャツとブリーフは当時、メンズアンダーの定番スタイルでした。しかし、90年代に海外ブランドのボクサーパンツが登場したのを機に、メンズアンダーにもファッション性が求められるようになります。2000年代に入って以降、色柄ものが主流になり、白の定番ブリーフは少数派に。YGの顧客も中高年となり、加齢に対応した機能を求める年代になっています。

 

 また、綿素材中心だった肌着の市場に、合繊の特性を生かした機能性インナーが登場。ユニクロや量販店のPB(プライベートブランド) がインナー市場で存在感をまし、量販店や百貨店で展開されるナショナルブランドのポジションが曖昧になってきています。同時に、クールビズの浸透によりビジネスマンのインナーに対する関心が高まり、インナー選びにも「着心地」を重視する人が増えています。

 

 そこで、新生YGでは「着心地」に着目。従来品よりもさらに着心地の良さにこだわり、「絶妙なフィット感で身体を優しく包み込むような心地よさが感じられるインナーを開発しました」(広報担当者)。

 

着心地の良さの秘密は立体裁断と綿素材にある
着心地の良さの秘密は立体裁断と綿素材にある

 その秘密は立体裁断と綿素材にあります。

 心地よいフィット感を実現するために、人間の体型を考慮した立体裁断を採用。身体への着圧を均一にすることで、首から肩にかけてかかりがちな締め付け感を軽減しました。また、生地の柔らかさを実現するために上質なアメリカ綿を使用し、甘撚りのコンパクトスピンで柔らかな風合いを出しています。洗濯を重ねてもごわつきにくいのが特徴です。

 

 従来品より価格を引き下げた点も見逃せません。

 例えば、綿100%のクルーネックTシャツは現行価格998円(税込み)ですが、新生YGでは840円(消費税5%の場合)。夏向けの機能性インナー「クールマジック」の中心価格が1575円(税込み)に対して、ドライ&クールシリーズも1050円(消費税5%の場合)に抑えられています。ユニクロの綿100%クルーネックTシャツとエアリズムのクルーネックTシャツは990円(税込み)ですが、週末値引きが常態化していますから、それに対抗する価格を打ち出して競争力を高めるのが狙いです。

 価格の安さは、ベトナムの自社工場に生産を移行することで可能になりました。グンゼの肌着は国産であることがウリのひとつですが、「ターゲットとなる団塊ジュニア層は、中高年ほど国産にこだわらないので、800円でTシャツを作ることをまず考えた」(広報担当者)といいます。

 

 商品は、「コットン100%」と、吸汗速乾・ムレ緩和機能を備えた「ドライ」、鹿の子編みで肌にはりつきにくくした夏向けの「ドライ&クール」、綿100%や立体成型を揃える「ボクサーブリーフ」をラインナップ。

 

 ここ数年、合成繊維を使った低価格の機能性インナーが市場を牽引してきましたが、昨年あたりから綿回帰の流れも見られます。さらに、記録的な猛暑だったこの夏、合繊系機能性インナーの実力を実感した人は多かったようですが、個人ブログのなかには物足りなさを感じた人もいます。消費者のインナーに対する関心や要望がまし、メーカーの開発競争が熱を帯びるなか、来シーズンは合繊VS綿の戦いになる可能性も。新生YGの登場により、フィット感や素材感、縫製にも注目が集まることは間違いなさそうです。 

新生YGのボクサーパンツ

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