2月26日、大丸梅田店1階西にアパレル通販ブランド「ドゥクラッセ」と靴ブランド「フィットフィット」の西日本旗艦店がオープンしました。同フロアで一部展開していたヤング女性向け売り場「うふふガールズ」は5階に集約。百貨店の主力顧客であるアラフォーから50代の女性客を対象としたフロアに一新されました。
「ドゥクラッセ」は、日本ランズエンドの社長などを歴任した林恵子社長が2007年に創業。「日本の40代、50代を元気に輝かせる」をコンセプトに、上質な素材使いと顔色をきれいに映す色使い、ボディラインをきれいに見せるパターンなど、いつまでも上質なファッションを楽しみたいバブル世代女性向けに開発されたSPAブランドです。トレンド感のあるデザインと買い求めやすい価格設定に加え、ファッションイベントの開催や女性社員の積極採用などで支持を獲得。創業わずか6年でカタログ会員数は約110万人に達しています。同時に業績も毎年150%ペースで伸び、2013年7月期の売上高はグループ全体で100億円の大台を突破しました。
また、靴ブランドの「フィットフィット」は2011年3月にスタート。外反母趾にも優しいオリジナル木型と足本来の形に合わせた設計、異なる素材で作られた3層構造のソールなどを特徴とし、足に吸い付くようなフィット感と長時間歩いても疲れない履き心地の良さでファンを広げています。発売開始から半年でプレーンパンプス1型を1万2000足販売。ロングセラーの「バイカラーシリーズ」も累計5万足以上販売したそうです。東日本大震災後、コンフォートシューズの需要が高まっていますが、「長時間歩ける痛くない靴」として人気を集めています。
現在、直営店舗は首都圏を中心に展開し、ドゥクラッセ大丸梅田店は16店舗目、フィットフィット大丸梅田店は22店舗目となります。ドゥクラッセは4月に関西4店舗目を出店する予定で、フィットフィットは2015年までに40店舗の出店を計画しています。
今回、大丸梅田店に出店した大きな狙いは新規顧客の開拓です。これまではカタログ通販会員の試着ニーズに応える形で立地を選定してきましたが、「1日の乗降客数約80万人超のJR大阪駅に直結する好立地に出店することで新たな顧客を開拓していきたい」と、ドゥクラッセ広報・PRの工藤芽生さんは話します。
現在は、カタログ通販の売り上げが過半数を占めていますが、「いずれはリアル店舗の売り上げが増え、逆転するのでは。30〜40代になるとスマホやウェブでの購入が増えているので今後強化していく予定です」(工藤さん)。
一方の大丸梅田店は、百貨店の顔でもある1階グランドフロアの再構築が目的です。同店ではここ数年、高感度でデイリーな百貨店をめざし、顧客層の拡大を狙い、値ごろ感のあるブランドや商品を意識的に導入。アラサーをターゲットにしたうふふガールズの導入はその一環です。ただ、1階西フロア前は近隣の企業で働く40代以上のキャリア女性や男性の通行客が多く、フロアの商品政策とずれていたため、売り上げ効率が落ちていたようです。
そこで、40代以上の女性に人気の高いブランドを導入することで、やや手薄になっていた主力顧客の呼び戻しを図ります。「無店舗販売で購入されている顧客には、リアル店舗で接客される楽しみを味わってもらえます。出店社にとっては、百貨店のカード顧客情報から、通販では見えない顧客のライフスタイル情報を把握でき、商品政策上の利点になると思います」(大丸松坂屋百貨店広報スタッフ)
大丸梅田店の年間稼働カード会員数は約90万人。ドゥクラッセのカタログ会員のうち、関西在住者は約35%を占めることから、両者がタッグを組めば大きな相乗効果が得られると期待されています。基本的に店舗を持たない通販会社と百貨店の協業は、オム二チャネルを含めた新しい販売形態を模索するファッション業界にとって何らかのヒントをもたらすことになるでしょう。
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